店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 都市伝説が現実を侵食していくような、不穏なサスペンスを読みたい時
- 刺さるポイント
- 広告戦略として作られた噂が人々の恐怖を巻き込み、事件の輪郭を変えていく
- 向いている人
- 心理戦、連続事件、最後まで疑いながら読むミステリーが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、荻原浩さんの『噂』をご紹介します。
物語の発端は、ある香水を売り出すために仕掛けられたキャンペーンです。女子高生の間で広がるように作られた奇妙な噂は、都市伝説としてひとり歩きを始めます。ところが、宣伝のための作り話だったはずの噂とよく似た事件が現実に起こり、物語は広告業界の軽やかな企みから、じわじわと冷たい犯罪の気配へ変わっていきます。
荻原浩さんは、噂が広がる仕組みそのものをサスペンスの装置として描きます。誰かが面白がって話を盛る。怖い話として友人に伝える。半信半疑のまま人々が同じ言葉を口にする。その連鎖の中で、最初に誰が何を始めたのかが見えにくくなり、読者も登場人物と同じように情報の真偽を疑うことになります。
本作の怖さは、凶悪な事件だけにあるわけではありません。人の注目を集めるためなら少し危うい手段も許されるという軽さや、自分には関係がないと思って消費する好奇心が、いつの間にか取り返しのつかない場所へつながっていく。その現代的な不気味さが、物語全体を強く引っぱります。
読み味はかなり鋭く、明るいユーモアよりも緊張感が前面に出た一冊です。都市伝説、広告、若者文化、連続事件が絡み合い、最後まで安心させてくれません。結末の印象が長く残るサスペンスを読みたい人に向いた作品です。
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