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I 表紙

2026年5月27日 更新

今日は、道尾秀介さんの『I』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
読む順番そのものが物語の意味を変える体験型ミステリーに浸りたい時
刺さるポイント
二つの章をどう受け取るかで、登場人物の選択と読後の感触が大きく変わる
向いている人
仕掛けの驚きだけでなく、選択の重さや倫理の揺れまで味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、道尾秀介さんの『I』をご紹介します。

この作品は、二つの章で構成された体験型のミステリーです。読者はどちらの章から読むかを自分で選びます。たったそれだけの選択に見えますが、読み進めるうちに、その順番が物語の見え方を大きく変えていくことに気づかされます。

一方の章では、元刑事だという男の語りをきっかけに、過去の事件や人の抱える秘密が少しずつ浮かび上がります。もう一方では、硝子職人と暮らす高校生の少女が、誰にも言えない事情を抱えながら日々を過ごしています。二つの話は最初、別々の場所で進んでいるように見えます。けれど、読者が片方を知ったあとでもう片方へ進むと、何気ない言葉や沈黙の意味が変わり、すでに読んだ場面まで違う色を帯びていきます。

道尾作品らしいのは、構造の奇抜さが単なる趣向で終わらないところです。読む順番を選ぶという行為が、登場人物の運命を外から眺めることではなく、自分もその結末に関わってしまうような感覚につながっていきます。真相を知る快感と同時に、自分が何を選び、何を見落としていたのかを問われる読書になります。

読後には、もう一つの順番で読み直したくなる人も多いはずです。最初の読書で得た理解が、再読では別の意味を持ち始めるからです。『I』は、驚きの仕掛けを楽しみたい人だけでなく、物語を読むこと自体の責任や、選択の重さを考えたい人にも強く残る一冊です。

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