店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 一つの事件を、いくつもの推理が塗り替えていく知的な緊張感を味わいたい時
- 刺さるポイント
- 女性教師の死をめぐる仮説が、章を追うごとに組み替えられていく推理ゲーム
- 向いている人
- 明快な解決だけでなく、真相に近づく過程そのものを楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、貫井徳郎さんの本格ミステリー『プリズム』をご紹介します。
物語の発端は、小学校教師の女性が自宅で遺体となって発見される事件です。事件関係者の中から容疑者らしい人物が浮かび上がり、捜査は一見すると単純な方向へ進むように見えます。ところが、この作品は一つの答えにまっすぐ収束していくタイプの謎解きではありません。
章が進むたびに、事件の見え方は変わります。ある人物の推理が成立したかと思えば、別の視点からその仮説にひびが入り、さらに新しい説明が立ち上がる。まるで光がプリズムを通って分かれるように、同じ出来事が何通りもの色を帯びていきます。
この作品の魅力は、犯人当ての驚きだけではなく、推理すること自体の危うさにあります。人は限られた情報から筋の通った物語を作ろうとします。けれど、その筋の通り方が、必ずしも真実を保証してくれるわけではありません。読み手は仮説に引き込まれながらも、次のページで足元を揺さぶられていきます。
『プリズム』は、すっきりした解決だけを求めるより、推理の組み立てと崩壊をじっくり楽しみたい人に向いた一冊です。読み終えたあとには、真相とは何か、納得とは何かを、少し考え直したくなるミステリーです。
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