店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 奇妙な童話と記憶の謎が絡み合う、濃密な御手洗潔作品を読みたい時
- 刺さるポイント
- 記憶に問題を抱えた男が書いた幻想的な物語を手がかりに、過去の真相へ近づいていく
- 向いている人
- 心理ミステリー、物語内物語、現実離れしたイメージが論理へ変わる展開が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、島田荘司さんの『ネジ式ザゼツキー』をご紹介します。
本作は、御手洗潔シリーズの中でも、幻想的な入口と知的な謎解きが強く結びついた長編です。物語の中心に置かれるのは、記憶に深い問題を抱えた男性が書いた不思議な童話です。蜜柑の樹の上にある国、機械仕掛けのような身体を持つ存在、奇妙な飛行のイメージ。最初は現実から切り離された空想に見える断片が、御手洗の目を通すことで、ある人物の過去や心の傷へとつながっていきます。
読みどころは、童話的なイメージの豊かさと、それを推理小説として読み替えていく過程です。島田荘司さんらしい大きな奇想はありますが、謎の核にあるのは人間の記憶、認識、そして失われた時間です。派手な事件を追うだけではなく、語られた物語そのものを調べるような読み味があり、読者は現実と幻想の境目を何度も行き来することになります。
御手洗潔の推理は、突飛な発想をただの思いつきで終わらせません。不可解な物語の細部、言葉の選び方、語り手の状態を重ね合わせながら、混乱していた像を少しずつ焦点の合ったものへ変えていきます。そのため、読み進めるほど、最初に感じた奇妙さが別の意味を帯びて見えてきます。
『ネジ式ザゼツキー』は、御手洗潔シリーズをある程度読んだあとに、さらに深い一冊へ入りたい人に向いています。幻想的な設定、心理の謎、そして最後に大きく視界が開ける本格ミステリーを求める人におすすめです。
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