店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 犯人を追う側と追われる側の境界が揺らぐミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 連続殺人犯が、自分の手口をまねた別の殺人の真相を探るという倒錯した構図
- 向いている人
- 心理の不穏さ、ブラックなユーモア、終盤の反転を一冊で味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、殊能将之さんの『ハサミ男』をご紹介します。
物語に登場するのは、世間を騒がせる連続殺人犯、通称ハサミ男です。ところが、次の標的として考えていた少女が、自分と同じ手口で殺されてしまいます。自分の犯行ではない。では、誰が何のために同じ方法を使ったのか。犯人であるはずの人物が、別の犯人を追い始めるという、ねじれた構図から物語は動き出します。
本作の面白さは、犯罪捜査のミステリーでありながら、視点そのものが読者を落ち着かせてくれないところにあります。語り手の冷静さ、死への執着、日常の中に差し込まれる黒いユーモアが、事件の不気味さを際立たせます。警察の捜査、犯人側の行動、周囲の人物たちの違和感が重なり、何を信じてよいのかが少しずつ揺らいでいきます。
読者の間では、終盤の仕掛けや、読み返した時に見え方が変わる構成が印象に残りやすい作品として知られています。ショッキングな題材を扱いますが、単に残酷さで押すのではなく、語りの精度と視点の誘導で読ませるタイプのミステリーです。
『ハサミ男』は、倒錯した設定と本格的な謎解きが結びついた一冊です。少し危うい語り口に引き込まれながら、最後に足元をすくわれる感覚を味わいたい人におすすめです。
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