店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 昭和の熱気と社会の影を、重厚なサスペンスで味わいたい時
- 刺さるポイント
- 東京オリンピック前夜の高揚の裏で、一人の若者の怒りが犯罪へ向かっていく
- 向いている人
- 歴史背景の濃い社会派ミステリーや、読み応えのある長編が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 奥田英朗さんの長編小説、 『オリンピックの身代金』 についてお話しします。
舞台は、 一九六四年の東京オリンピックを目前にした東京です。 新しい道路が造られ、 街は国際的な大イベントへ向けて熱気を帯びています。 日本が豊かになっていく象徴のような時間。 しかしその光の下には、 過酷な労働や貧しさ、 社会の端に置かれた人々の痛みもありました。
物語では、 警察を狙った爆破事件が起こり、 国家の威信をかけた捜査が進められます。 一方で、 事件へ向かっていく若者の背景も丁寧に描かれます。 地方から東京へ出てきた彼は、 華やかな祭典を支える現場で、 豊かさの裏側にある不公平を目にしていきます。 その怒りと孤独は、 やがて取り返しのつかない行動へつながっていきます。
この作品の強さは、 犯人を単純な悪として片づけないところにあります。 もちろん犯罪は許されるものではありません。 それでも、 なぜその人物がそこまで追い詰められたのかをたどることで、 時代そのもののゆがみが見えてきます。 警察小説としての緊張感と、 昭和の社会を描く群像劇としての厚みが重なり、 ページを進めるほどに物語の重さが増していきます。
『オリンピックの身代金』は、 明るい祝祭の裏側にある声を聞く小説です。 歴史の中の事件を追うだけでなく、 豊かさとは何か、 そのために誰が見えなくされるのかを考えたい人に向いています。
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