店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 女性たちが教育と信念で時代を切り開く、大きな物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 河井道と渡辺ゆりの絆を軸に、近代の女子教育とシスターフッドを描く
- 向いている人
- 歴史小説、女性史、読み応えのある長編に惹かれる人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 柚木麻子さんの長編小説、 『らんたん』 についてお話しします。
この作品は、明治から昭和へと続く時代の中で、女性が学び、自分の人生を自分のものとして生きるための場所を作ろうとした人々を描く大河小説です。物語の中心にいるのは、教育者の河井道と、その教え子であり、深い絆で結ばれていく渡辺ゆりです。ふたりの関係を軸に、津田梅子、新渡戸稲造、平塚らいてう、山川菊栄など、近代日本の女性史や教育史に関わる人物たちが、生き生きと物語の中に現れます。
本作の魅力は、歴史上の名前を並べるだけではなく、それぞれを迷い、悩み、時に笑い合う一人の人間として描いているところにあります。女性は家庭に入るべきだという価値観が強かった時代に、学ぶこと、働くこと、友と支え合うことをどう守るのか。道とゆりは、理想だけでは進めない現実に何度もぶつかりながら、それでも教育の灯を消さないために歩き続けます。
読みどころは、シスターフッドの力強さです。ここで描かれる連帯は、甘い理想ではありません。意見がぶつかり、距離が生まれ、互いの人生を完全には引き受けられないこともある。それでも、誰かが学ぶ権利をあきらめそうになった時、別の誰かがその灯を受け継いでいく。その積み重ねが、長い物語に大きなうねりを生んでいます。
ページ数は多いですが、読み終えると、教育や自由が当たり前に与えられたものではないことが静かに迫ってきます。歴史小説が好きな人はもちろん、友情、学び、女性たちの連帯を描いた物語に心を動かされる人におすすめしたい一冊です。
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