店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 名画の奥にある戦争の記憶と、現代につながる謎を追いたい時
- 刺さるポイント
- ピカソの「ゲルニカ」をめぐる過去と現代の物語が、サスペンスとして交錯する
- 向いている人
- アートミステリー、歴史サスペンス、社会性のある小説が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』をご紹介します。
物語は、ニューヨークの国連本部から始まります。イラク攻撃をめぐる記者会見の場で、背後にあるはずの「ゲルニカ」のタペストリーが覆い隠されていた。その出来事をきっかけに、MoMAで働くキュレーターの八神瑤子は、ピカソの代表作をめぐる大きな陰謀に巻き込まれていきます。現代のニューヨークで進む調査と、スペイン内戦の時代に絵が生まれていく過程が交互に描かれ、ひとつの絵が抱える意味が少しずつ浮かび上がります。
本作の読みどころは、アートの謎解きと歴史の重みが強く結びついているところです。「ゲルニカ」は美術館に収められた名画であると同時に、暴力にさらされた人々の記憶を背負う作品です。瑤子が追う事件は、単なる美術品の行方ではありません。絵を隠すこと、絵を守ること、絵を見せること。それぞれの行為が、戦争や政治に対してどんな意味を持つのかを、物語は緊迫感をもって問いかけます。
過去のパートでは、ピカソやドラ・マールをはじめ、激動の時代に創作と向き合う人々が描かれます。芸術が世界を直接変えるわけではないかもしれません。それでも、目をそらしてはいけない痛みを形にし、未来へ渡す力がある。そうした確信が、サスペンスの奥に熱く流れています。
『暗幕のゲルニカ』は、知的な謎解きを楽しみながら、名画がなぜ今も人を揺さぶるのかを考えさせてくれる一冊です。美術、歴史、国際政治が重なり合う物語を読みたい人におすすめです。
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