店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 倫理を踏み外した本格ミステリーの刺激を味わいたい時
- 刺さるポイント
- ネット上の推理ゲームが現実の殺人と直結し、トリックそのものが凶器になっていく
- 向いている人
- 密室、アリバイ、犯人当ての論理を、危険な設定込みで楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、歌野晶午さんの『密室殺人ゲーム王手飛車取り』をご紹介します。
物語の中心にいるのは、奇妙なハンドルネームで集まる五人の人物です。彼らはネット上で、密室殺人やアリバイ崩し、犯人当てといった推理ゲームを出題し合っています。ところが、その問題は架空のパズルではありません。出題者が実際に人を殺し、その方法を他の参加者に解かせているのです。
この作品の異様さは、事件が悲劇としてではなく、ゲームの問題として扱われるところにあります。登場人物たちは被害者の人生よりも、トリックの精度や推理の切れ味に興奮します。そのため読者は、よくできた本格ミステリーを読んでいる楽しさと、人の死を娯楽にしてしまう不気味さを同時に味わうことになります。
読みどころは、各エピソードで提示される謎の濃さです。密室、足跡、凶器、時間差、心理的な盲点など、古典的な本格ミステリーの道具立てが次々と現れます。ただし本作では、それらが安全な物語上の仕掛けではなく、現実の殺人として語られるため、謎解きの快感がそのまま背徳感につながっていきます。
一方で、作品全体は単なる過激な設定だけで進むわけではありません。五人のやり取りには、推理小説というジャンルへの挑発や皮肉が含まれています。名探偵とは何か、読者はなぜトリックを面白がるのか。そうした問いが、チャットの軽さと残酷な事件の落差から浮かび上がります。
『密室殺人ゲーム王手飛車取り』は、論理の面白さを突き詰めながら、ミステリーを読む快楽そのものに揺さぶりをかけてくる一冊です。王道の謎解きが好きで、なおかつ少し危うい設定にも踏み込みたい人に向いています。
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