店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 館ものらしい雰囲気と、ひねりのある視点のミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 十字形の屋敷で起きる連続殺人を、すべてを見ていたピエロ人形の視点が不気味に照らす
- 向いている人
- クラシックな館ミステリーや、視点の仕掛けがある作品が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、東野圭吾さんの長編ミステリー『十字屋敷のピエロ』をご紹介します。
舞台は、十字の形をした風変わりな屋敷です。屋敷の主人だった女性がバルコニーから転落死し、その四十九日の法要に一族が集まります。ところが、その夜に新たな殺人が起き、屋敷に残された人々の間に疑いが広がっていきます。外から来た犯人なのか、それとも家族の中にいる誰かなのか。閉じた空間の緊張が、物語をじわじわと包みます。
本作を特徴づけているのは、屋敷に置かれたピエロ人形の視点です。人形は動けず、話すこともできません。ただ、そこにいて、見ている。人間たちが隠そうとする表情や行動を、読者だけがその視点を通して受け取ることになります。この設定によって、事件の不気味さと、見えているのに届かないもどかしさが強まっています。
館ものとしての楽しさも十分にあります。屋敷の構造、一族の関係、過去の死、相続をめぐる空気。古典的な素材を使いながら、東野圭吾さんらしくテンポよく読ませるため、重厚すぎず、それでいて最後まで謎を追う手応えがあります。誰が何を見て、何を見落としていたのかを考えながら読むと、仕掛けの意味が少しずつ見えてきます。
『十字屋敷のピエロ』は、初期の東野ミステリーの工夫を味わえる一冊です。閉ざされた屋敷、奇妙な語り手、連続殺人という組み合わせに惹かれる人におすすめです。
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