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テスカトリポカ 表紙

テスカトリポカ

2026年5月27日 更新

今日は、佐藤究さんの長編クライムノベル 『テスカトリポカ』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
世界規模の犯罪と神話性が絡む、重厚な物語に没入したい時
刺さるポイント
麻薬組織、臓器売買、移民の孤独が、アステカの神話的イメージと結びつく
向いている人
暗く濃密なクライムノベルを、長編でじっくり読みたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、佐藤究さんの長編クライムノベル 『テスカトリポカ』をご紹介します。

物語の中心にいるのは、メキシコの麻薬組織の抗争で家族を失い、国外へ逃れた男バルミロです。彼はジャカルタで、薬物に溺れて崩れていく日本人医師の末永と出会います。やがて二人は日本に渡り、川崎で人間の命を商品に変えていく危険なビジネスを始めます。

もう一人の重要人物が、メキシコ人の母と日本人の父のあいだに生まれた少年コシモです。彼は日本社会の中で居場所を得られないまま育ち、暴力と孤立に追い詰められていきます。遠く離れているように見えたバルミロとコシモの人生は、アステカの神々の影をまといながら、避けがたい形で交わっていきます。

この作品は、単なる犯罪小説の枠に収まりません。麻薬、臓器売買、貧困、移民、暴力といった現代社会の暗部を、神話的なスケールで描いています。残酷な場面も多く、読みやすい作品ではありませんが、その分、命がどのように扱われ、奪われ、取引されていくのかという問いが重く迫ってきます。

圧倒的なページ数と濃密な描写を通じて、読み手は世界の裏側を歩かされるような感覚になります。暗く重いテーマに向き合う覚悟は必要ですが、犯罪小説としての迫力、社会派小説としての射程、そして神話を思わせる運命のうねりを味わいたい人には、強く刺さる一冊です。

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