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ツミデミック 表紙

ツミデミック

2026年5月27日 更新

今日は、一穂ミチさんの『ツミデミック』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
不安な時代の中で、人が踏み外してしまう一線を見つめたい時
刺さるポイント
パンデミック下の日常を背景に、小さな罪や後悔が思わぬ形で浮かび上がる
向いている人
社会性のある短編や、割り切れない余韻を残す犯罪小説が好きな人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、一穂ミチさんの『ツミデミック』をご紹介します。

この作品は、パンデミックによって日常の形が変わってしまった時期を背景に、人が抱え込んだ罪や後悔を描く短編集です。大きな事件を遠くから眺めるのではなく、生活のすぐそばにある不安、孤独、行き詰まりが、ふとした瞬間に人を思わぬ方向へ動かしていく様子を見つめます。

収められている物語では、夜の街で働く若者、仕事を失った男性、家庭や人間関係に疲れた人々など、それぞれに行き場のない思いを抱えた人物が登場します。彼らは最初から悪人として描かれるわけではありません。むしろ、少し弱っていたり、誰にも気づかれないまま追い詰められていたりします。その弱さが、ある日ひとつの選択につながってしまうところに、本作の怖さがあります。

読みどころは、犯罪や罪を分かりやすい善悪に閉じ込めないところです。してはいけないことをした人がいる。けれど、その背景には時代の空気、生活の苦しさ、誰かに見捨てられた感覚がある。物語は言い訳を与えるのではなく、人が一線を越える前にどんな沈黙が積もっていたのかを、静かに照らしていきます。

短編ごとに味わいは違いますが、どの話にも、あの時期を過ごした人ならどこかで覚えている息苦しさがあります。閉じた部屋、減っていく仕事、会えない人、先の見えなさ。その空気の中で、人の善意や身勝手さがいつもより濃く浮かび上がります。

『ツミデミック』は、謎を解いてすっきりするタイプの物語ではありません。読み終えたあとに残るのは、誰かを簡単に裁てない重さです。社会のひずみと個人の心の揺れを重ねて読む、鋭く苦い一冊です。

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