店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 介護や家族の責任をめぐる重い問いに、ミステリーとして向き合いたい時
- 刺さるポイント
- 善悪だけでは割り切れない事件を通じて、社会制度のひずみが浮かび上がる
- 向いている人
- 社会派ミステリーや、読後に倫理の余韻が残る物語を求める人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、葉真中顕さんの社会派ミステリー『ロスト・ケア』をご紹介します。
物語の中心にあるのは、高齢者介護の現場で起きた事件と、その事件に向き合う人々です。介護サービスに関わる人間が罪に問われ、検察官は正義を信じて真相を追っていきます。けれど調べれば調べるほど、事件は単純な悪意だけでは説明できない姿を見せ始めます。
介護を受ける人、介護を担う家族、現場で働く人、制度を支える側にいる人。それぞれが限界を抱えながら、それでも誰かを見捨てることができない。そんな苦しさが、物語の奥からじわじわと迫ってきます。ミステリーとしては、犯行の構図や人物の思惑を追う緊張感がありますが、本作が強く残すのは、事件の答えよりも「救う」とは何かという問いです。
読み進めるほど、読者は安全な場所から事件を眺めていられなくなります。自分や家族が同じ状況に置かれたら、どこまで耐えられるのか。正しさを口にすることはできても、その正しさは現実の苦痛を受け止めきれるのか。そんな問いが、物語の一場面ごとに重く響きます。
『ロスト・ケア』は、派手などんでん返しだけで読ませる作品ではありません。介護、家族、孤立、制度の隙間にある痛みを、犯罪小説の形で真正面から描いた一冊です。社会派ミステリーを読みたい人はもちろん、答えの出ない問題を物語の中で考えたい人に向いています。
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