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ソロモンの犬 表紙

ソロモンの犬

2026年5月27日 更新

今日は、道尾秀介さんの『ソロモンの犬』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
青春の痛みと謎解きが重なるミステリーを読みたい時
刺さるポイント
一頭の犬が引き起こした事故を起点に、友情や喪失の見え方が少しずつ変わっていく
向いている人
青春小説の切なさと、最後に景色が反転するミステリーを一緒に味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、道尾秀介さんの『ソロモンの犬』をご紹介します。

物語の中心にあるのは、大学生たちの平凡な夏を一変させた、ひとつの死亡事故です。仲間内で可愛がっていた少年が、犬に引きずられるような形で命を落とす。誰の目にも不幸な事故に見えた出来事でしたが、主人公の秋内は現場にいた友人の様子に小さな違和感を覚えます。その疑問を抱えたまま、動物の行動に詳しい助教授を訪ねるところから、事故の輪郭は少しずつ別の姿を見せ始めます。

この作品の読みどころは、謎そのものが青春の空気と深く結びついているところにあります。大学生たちの会話には軽さや滑稽さがあり、恋愛感情や友情もどこか不器用です。けれど、その未熟さの中に、誰かを思う気持ち、見落としてしまったサイン、取り返しのつかない後悔が静かに沈んでいます。事件を追うほど、登場人物たちの感情は単純な善悪では割り切れなくなっていきます。

道尾作品らしく、読み進めるうちに何気ない場面の意味が変わっていく構成も印象的です。犬の行動、友人たちの言葉、事故当日の細部。最初は散らばって見える要素が、終盤に近づくにつれてひとつの線を作り、読者が信じていた前提を揺らします。ただ驚かせるための仕掛けではなく、真相に触れたあとで登場人物たちの悲しみがより深く見えるところが、この小説の強みです。

『ソロモンの犬』は、重苦しい事件を扱いながらも、青春小説としての切なさや可笑しさを失わない作品です。若さゆえの無防備さ、誰かを失ったあとの空白、そして真実を知ることの痛みを、ミステリーとして味わいたい時に手に取りたい一冊です。

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