店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 親であることの不安や、家族の嘘をめぐる重いミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 父の遺体と古い事件を追う過程で、愛の名を借りた傷が露わになっていく
- 向いている人
- 母性や家族愛を美談だけで終わらせない物語に惹かれる人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、まさきとしかさんの『祝福の子供』をご紹介します。
主人公の柳宝子は、虐待を疑われ、最愛の娘と離れて暮らしています。母親として失格なのではないかという思いに押しつぶされそうな日々の中で、二十年前に死んだはずの父の遺体が発見されます。遺品として残されていたのは、娘に宛てた手紙と、過去の猟奇事件に関する切り抜きでした。
宝子は父の足跡をたどり始めますが、調べれば調べるほど、父の過去は自分の家族の秘密へとつながっていきます。一方で、事件を追う刑事の黄川田もまた、自分の家庭に拭いきれない疑いを抱えています。親であること、子であること、愛されること。そのどれもが当然のようには成り立たない人々が、事件を通して結びついていきます。
本作が強く迫ってくるのは、母性や家族愛をきれいな言葉で包み込まないところです。子どもを愛したいのにうまく愛せない。親を理解したいのに、知れば知るほど許せなくなる。そんな感情を抱えた人物たちの苦しさが、ミステリーの謎解きと重なっていきます。
真相を追う物語でありながら、読後に残るのは「祝福」とは何かという問いです。生まれてきたことは無条件に祝われるべきなのか。それとも、誰かを愛する努力そのものが祝福なのか。家族の痛みを正面から描く、重くも余韻のある一冊です。
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