店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 家系や土地の因習が、親子の愛情を縛っていく物語に触れたい時
- 刺さるポイント
- 女だけが受け継いできた家の記憶と、母が子を思う気持ちの歪みが絡み合う
- 向いている人
- 家族ミステリー、地方の閉塞感、母娘関係の暗い緊張を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、まさきとしかさんの『熊金家のひとり娘』をご紹介します。
北の小さな島に、代々ひとり娘を産み継ぐ祈祷の家系、熊金家があります。その家に生まれた一子は、祖母の強い支配と、血筋にまつわる重い空気から逃れるように島を出ます。外の世界で生きることは、熊金家から自由になることでもありました。
けれど一子の人生は、家から完全に切り離されません。大人になった彼女は、男の子の母になることを強く願います。しかし生まれたのは女の子でした。一子はその子に明生と名付け、息子のように育て、愛そうとします。やがて明生が姿を消した時、一子の胸には、家の血と過去への恐れがよみがえります。
本作が描くのは、母娘の愛情だけではありません。愛しているからこそ相手を自分の願いに押し込めてしまう怖さ、家族を守るという名目で子どもの輪郭を見失っていく危うさが、静かに積み重なっていきます。島という閉じた場所、祖母の存在、受け継がれてきた言い伝えが、現在の事件に影を落とす構成も読みどころです。
読み進めるほど、明生はどこへ消えたのかという謎と同時に、一子は何から逃げ、何を繰り返してしまったのかという問いが大きくなります。血筋や家制度の重さを背景に、母親であることの願いと呪いを見つめる一冊です。地方に残る因習と家族心理が絡むミステリーを読みたい時に合います。
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