店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 子どもでも大人でもない時期の、不安定でまぶしい気持ちを思い出したい時
- 刺さるポイント
- 十七の短い物語を通して、少年たちの寂しさ、友情、家族への思いを四季の中に描く
- 向いている人
- 短編で読みやすく、子ども時代の揺れにやさしく触れる作品を探している人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの短編集『小学五年生』をご紹介します。
この作品に登場するのは、十歳から十一歳くらいの少年たちです。まだ大人ではないけれど、もう幼い子どもとしてだけではいられない。そんな微妙な年齢の心の動きを、十七の短い物語が四季の風景とともに描いていきます。転校、親の離婚、近しい人との別れ、友だちとのけんか、淡い恋心。出来事はどれも身近ですが、少年たちにとっては世界の見え方が変わるほど大きな経験です。
重松清さんは、子どもを無邪気な存在としてだけ描きません。強がりもあれば、嫉妬もあります。誰かにやさしくしたいのに、うまくできないこともあります。泣きたいのに泣けない、謝りたいのに言えない、でも心の奥ではちゃんと何かを感じている。そうした言葉になる前の感情が、一編一編に静かに刻まれています。
短い物語が並ぶ形式なので、読み進めるほどに、ひとつの学年をめぐる心のアルバムのように感じられます。大事件が起きるわけではなくても、子ども時代の一日には、その後の人生に残る場面がある。作品は、その一瞬の重みをやさしい目線で照らしてくれます。
読後には、自分が小学五年生だった頃の教室や帰り道を思い出すかもしれません。子どもの世界を懐かしむだけでなく、その年齢の子どもが抱えている複雑さをもう一度見つめ直したくなる一冊です。
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