店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 子ども時代の孤独や、家族の形にまつわる切なさを読みたい時
- 刺さるポイント
- 団地で出会った少年少女が、秘密の同盟を通して互いの寂しさを支え合う
- 向いている人
- 昭和の空気を背景にした、友情と家族のヒューマンドラマが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの長編小説『一人っ子同盟』をご紹介します。
舞台は昭和の団地です。小学六年生のノブとハム子は、同じ団地に住む子ども同士です。二人はどちらも一人っ子として見られていますが、その言葉の中には、外からはわからない事情があります。ノブには幼いころに亡くした兄がいて、ハム子の家には母の再婚によって新しい弟が生まれています。二人は仲良しと言い切れるほど近いわけではありません。それでも、困った時は助け合うという約束で、ひそかな同盟を結びます。
この作品が描く子ども時代は、ただ懐かしいだけではありません。家族の中で自分の居場所が揺れる感覚、親には言えない不安、友だちとの距離を測り損ねる気まずさが、細やかに描かれます。重松清さんは、子どもの悩みを小さなものとして扱いません。大人から見れば些細に思える出来事でも、その年齢の子どもには世界の全部を変えてしまうほど重いことがあります。
同盟という言葉には、遊びのような軽さと、真剣な祈りのような切実さが同居しています。ノブとハム子、そして彼らが出会う子どもたちは、それぞれに嘘をつき、意地を張り、誰かに気づいてほしいと願っています。
家族はいつも完全ではなく、友だちもいつも味方でいられるわけではありません。それでも、あの頃に交わした小さな約束が、長い時間のあとで心を支えることがあります。子ども時代の痛みと光を、静かに思い出させてくれる一冊です。
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