店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 食べることと暮らすことのつながりに、じんわり励まされたい時
- 刺さるポイント
- 離婚届、複雑な家庭事情、出産騒動を抱えながら、料理好きの男たちが人生を立て直していく
- 向いている人
- 夫婦、家族、友情をあたたかくもほろ苦く描く重松清さんの作品を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの長編小説『ファミレス 下』をご紹介します。
下巻では、陽平たちの抱える問題がいっそう具体的な形で動き出します。妻の離婚届を見つけた陽平は、夫婦の時間をどう受け止めるのかを問われます。料理仲間の一博の家には思いがけない母子が入り込み、康文もまた幼なじみとして巻き込まれていきます。中年になった男たちの友情は、気の利いた助言よりも、台所に立つ手つきや同じ皿を囲む時間の中で支え合うものとして描かれます。
この作品の魅力は、家族の問題をきれいな解決だけに寄せないところです。長く一緒に暮らしてきた夫婦にも、言えなかったことがあります。親子にも、友人にも、見えていなかった孤独があります。けれど、お腹は空き、誰かが料理を作り、食卓にはまた人が集まります。その繰り返しが、暮らしをもう一度前へ進めていきます。
重松清さんは、五十歳前後の登場人物たちを格好よく描きすぎません。焦り、弱音を飲み込み、余計なことを言い、時には逃げ腰になります。それでも、誰かのために手を動かすことで、関係は少しずつ変わっていきます。食べることは、生きることそのものなのだと自然に伝わってきます。
『ファミレス 下』は、夫婦、家族、友情を「食卓」から見つめる完結編です。派手な奇跡ではなく、毎日のごはんのような回復がある。読み終えると、自分の家の食卓や、久しぶりに会いたい人の顔を思い浮かべたくなる一冊です。
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