店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 事件の解決後に残された人々の痛みを読むミステリーを味わいたい時
- 刺さるポイント
- 犯人逮捕の先にある家族、選挙、眠れない夜、他人の家の事情が別の真実を見せる
- 向いている人
- 謎解きだけでなく、事件のあとを生きる人の心理に深く入りたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、横山秀夫さんの『真相』をご紹介します。
この作品は、事件の真相そのものだけでなく、真相が明らかになったあとに残る人間の感情を描く短編集です。表題作では、息子を殺された父親が、犯人の供述によって息子の知らなかった一面に触れることになります。事件が解決しても、遺された人の中で何かが終わるわけではありません。むしろ、知ってしまったことで別の痛みが始まります。
収録作には、選挙に挑む男の切実な理由を描く話や、眠れない夜に追い詰められていく人物の物語など、犯罪や事故の周辺にある個人の事情が描かれます。横山秀夫さんの筆は、事件を単なる謎として処理しません。そこに関わった人の人生、見栄、後悔、家族への思いが、少しずつ姿を変えながら浮かび上がってきます。
『真相』という題名は、犯人や動機を知ることだけを意味していないように感じられます。誰かの本音は、事実が明らかになっても簡単には見えません。怒りの奥に悲しみがあり、正しさの奥に保身があり、沈黙の中に守りたかったものがある。短い物語の中で、その見えにくさが丁寧に掘り下げられます。
『真相』は、横山秀夫さんの短編の鋭さを味わえる一冊です。派手などんでん返しを求めるより、事件のあとに残るざらつきや、人が抱え込む言葉にならない感情を読みたい人に向いています。読み終えたあと、真実を知ることは本当に救いなのかという問いが静かに残ります。
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