店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 追い詰められた二人の選択を、息を詰めて見届けたい時
- 刺さるポイント
- 友情と暴力からの逃走が、読者を共犯者のような緊張感へ引き込む
- 向いている人
- 心理サスペンスや、女性二人の切実な連帯を描く物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 奥田英朗さんの長編小説、 『ナオミとカナコ』 についてお話しします。
物語の中心にいるのは、 百貨店で働く直美と、 専業主婦の加奈子です。 二人は学生時代からの親友ですが、 大人になった今、 それぞれ違う閉塞感を抱えています。 直美は仕事にやりがいを見いだせず、 加奈子は夫の暴力に追い詰められている。 ある日、 加奈子の傷を目の当たりにした直美は、 このままでは友人が壊れてしまうと感じます。
そこから物語は、 普通なら口にすることさえためらう計画へ進んでいきます。 二人は逃げるために、 そして生き延びるために、 越えてはならない線を見つめ始めます。 この作品の緊張感は、 単に犯罪が行われるかどうかにあるのではありません。 読者自身も、 それは間違っているとわかりながら、 二人を止めきれない気持ちになってしまうところにあります。
奥田英朗さんは、 直美と加奈子を単純な被害者や加害者として描きません。 恐怖、 怒り、 友情、 自己防衛、 そしてほんの少しの希望。 複数の感情が重なり合い、 二人の行動に切実な重さを与えています。 計画が進むほど、 自由に近づいているようで、 同時に別の不安に絡め取られていく。 その揺れが、 ページをめくる手を止めにくくします。
この本は、 明るい解決を約束する物語ではありません。 けれど、 弱い立場に置かれた人が、 自分の人生を取り戻そうともがく姿には、 強い痛みと迫力があります。 友情が救いにもなり、 危うさにもなるところが、 この作品の大きな読みどころです。
『ナオミとカナコ』は、 善悪を簡単に割り切れないサスペンスを読みたい人に向いています。 追い詰められた二人の決断を、 最後まで息を詰めて見届ける一冊です。
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