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名前探しの放課後(上) 表紙

名前探しの放課後(上)

2026年5月27日 更新

今日は、辻村深月さんの長編小説、『名前探しの放課後(上)』についてお話しします。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
青春ミステリーの緊張感と、友人を失うかもしれない怖さを味わいたい時
刺さるポイント
未来の自殺を止めるため、思い出せない誰かの名前を探す時間が始まる
向いている人
学園ものの空気と、記憶をめぐる謎解きが好きな人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、辻村深月さんの長編小説、『名前探しの放課後(上)』についてお話しします。

主人公の依田いつかは、ある日、自分が過去へ戻っているのではないかという違和感を覚えます。撤去されたはずの看板、変わっていない学校の風景、そして胸の奥に残る切迫した記憶。彼が思い出しているのは、これから同級生の誰かが命を絶ってしまうという未来です。けれど、その「誰か」の名前だけがどうしてもわかりません。

いつかは、クラスメートの坂崎あすなに相談し、二人でその名前を探し始めます。上巻の面白さは、差し迫った謎がある一方で、学校生活の手触りがとても丁寧に描かれているところです。放課後の教室、友人との何気ない会話、ふとした表情の変化。いつもなら見過ごしてしまう小さな違和感が、誰かの孤独へつながっているかもしれないと思うと、日常の見え方が少しずつ変わっていきます。

この物語では、未来を知っているはずの主人公も万能ではありません。大切なことを思い出せない焦り、間違った相手を疑ってしまう怖さ、助けたいという気持ちがかえって相手を追い詰めるかもしれない不安があります。その迷いがあるからこそ、謎解きは単なるゲームではなく、誰かに手を伸ばすことの難しさとして迫ってきます。

上巻は、まだ全体像が見えないまま、登場人物たちの心の影を少しずつ照らしていく一冊です。青春の明るさと、取り返しのつかない未来への恐怖が同じ放課後の空気の中にある。続きが気になりながらも、登場人物一人ひとりを慎重に見つめたくなる学園ミステリーです。

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