店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 日常の常識を少し疑いたくなる、毒のある短編が読みたい時
- 刺さるポイント
- 笑える設定の奥で、集団心理や思い込みがじわじわ暴走していく切れ味が鋭い
- 向いている人
- 短い話で何度も驚きたい人、ブラックユーモアとミステリーの混ざった読後感が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、浅倉秋成さんの 『まず良識をみじん切りにします』をご紹介します。
この本は、日常の中にある思い込みや空気の読み合いを、奇妙な方向へぐっと押し広げていく短編集です。 収録されているのは、復讐、行列、結婚式、裏切り、名前といった、誰にとってもどこか身近な題材を扱った五つの物語。 どの話も出発点は現実の延長にありながら、読み進めるうちに「それは本当に常識なのか」と足元を揺らしてきます。
タイトルの通り、作品全体には良識をいったん細かく刻み、別の料理にして出してくるような面白さがあります。 まじめな顔をしたおかしさ、笑って読んでいるうちにぞっとする感覚、そして終盤で見え方が変わる構成。 浅倉作品の持ち味である仕掛けのうまさはありつつ、長編ミステリーとは違い、短い距離で鋭く刺してくるタイプの一冊です。
印象に残るのは、ただ奇抜な設定を並べるだけではなく、人が集まった時に生まれる思考停止や、正しさの顔をした欲望を物語にしているところです。 登場人物たちはどこか極端ですが、その極端さの根っこには、現実にも見覚えのある見栄や嫉妬、承認欲求が潜んでいます。 だからこそ、笑いながらも完全には他人事にできない読後感が残ります。
一話ごとに気分を変えて読みたい人、ブラックユーモアのあるミステリーが好きな人に向いています。 読みやすい短編集でありながら、読み終わるころには、自分の中の常識も少しだけ疑ってみたくなる作品です。
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