店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 怪奇色の濃い大長編ミステリーにじっくり浸りたい時
- 刺さるポイント
- 暗闇坂の大楠をめぐる不気味な伝説と連続する怪事件に、御手洗潔が挑む
- 向いている人
- ホラーの気配をまとった本格推理や、重厚な謎解きが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、島田荘司さんの『暗闇坂の人喰いの木』をご紹介します。
物語の中心にあるのは、暗闇坂にそびえる樹齢二千年ともいわれる大楠です。かつてさらし首の名所だったという土地に立つその巨木には、人を呑み込むという不気味な噂がまとわりついています。やがて、大楠の周辺で奇怪な死や不可解な出来事が起こり、御手洗潔と石岡和己は、伝説と現実が入り混じるような事件へ踏み込んでいきます。
この作品は、島田荘司さんの御手洗潔シリーズの中でも、怪奇趣味と大長編の読み応えが強く出ています。巨木、古い屋敷、過去の因縁、異国の話までが重なり、事件は単純な犯人探しでは収まりません。場面によってはかなり不穏で刺激の強い描写もありますが、そのおどろおどろしさが、謎の巨大さを支える重要な雰囲気になっています。
読みどころは、恐怖や伝説として語られていたものが、御手洗の推理によって少しずつ別の姿を見せる過程です。人が木に呑まれるというありえない噂、屋根の上に現れる死体、過去から続くように見える不吉な連鎖。これらがひとつの構造として見えてくるにつれ、物語は怪談から本格推理へと重心を移していきます。
『暗闇坂の人喰いの木』は、軽く読むタイプのミステリーではありません。長さも重さもありますが、そのぶん、異様な世界に入り込む没入感があります。御手洗潔シリーズをさらに深く読みたい人、ホラーの気配をまとった本格ミステリーを求めている人に向いた、濃厚な一冊です。
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