店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- どこか童話めいた怖さを持つ館ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 少年時代の記憶に残る奇妙な洋館で、人形リリカをめぐる密室殺人がよみがえる
- 向いている人
- 館シリーズを軽めの読み口で追いつつ、不気味な余韻も味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、綾辻行人さんの『びっくり館の殺人』をご紹介します。
本作は、「館」シリーズ第八作にあたるミステリーです。舞台となるのは、子どものころの記憶の中に残る奇妙な屋敷、びっくり館。いろいろな噂がささやかれるその館には、白髪の老主人、内気な少年トシオ、そして風変わりな人形リリカがいました。
物語は、三知也が小学校六年生だったころの出来事を振り返る形で進みます。近所にあるびっくり館は、子どもにとって怖いけれど目を離せない場所です。やがてクリスマスの夜、三知也たちは館へ招かれ、リリカの部屋で起きた奇怪な密室殺人の第一発見者になります。楽しいはずの夜は、忘れがたい悪夢へと変わっていきます。
この作品の読みどころは、館シリーズらしい謎解きに、少年時代の記憶と童話的な怖さが重なっているところです。びっくり箱のような仕掛け、あやしい噂、人形の存在感。そうした要素は派手な恐怖というより、子どものころに感じた説明できない不安を呼び起こします。事件の謎を追う楽しさと、記憶の中の怖さが同時に響く一冊です。
長大な『暗黒館の殺人』に比べると、読み口は比較的コンパクトです。そのぶん、館の印象や人形リリカの不気味さが強く残ります。シリーズを順に読んでいる人には、中村青司の館がまた違った表情を見せる作品として楽しめます。
『びっくり館の殺人』は、重厚な本格ミステリーだけでなく、少し怪談めいた余韻も味わいたい人に向いています。子どものころに見た怖い夢を、大人になってからもう一度のぞき込むような読後感が残る作品です。
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