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この棚で手に取りたい理由
要約の冒頭と棚の手がかりから、手に取る理由をまとめました。
- 読みどころ
- 今日は、村山由佳さんの『おいしいコーヒーのいれ方(1) キスまでの距離』をご紹介します。
- 棚のジャンル
- 文学 / 恋愛
- 試し聴き
- 音声レビューで、読む前に作品の雰囲気を確かめられます。
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、村山由佳さんの『おいしいコーヒーのいれ方(1) キスまでの距離』をご紹介します。
この作品は、長く続く青春恋愛シリーズ「おいしいコーヒーのいれ方」の第一作です。高校三年生になる春、父の転勤をきっかけに、勝利はいとこの家で暮らすことになります。そこで再会した五歳年上のかれんは、昔の印象とは違う大人びた女性になっていました。しかも彼女は、勝利が通う高校の新任美術教師でもあります。同じ家で過ごす距離の近さと、教師と生徒という越えてはいけない線。そのあいだで、勝利の心は少しずつ揺れていきます。
物語の中心にあるのは、まだ恋の名前をうまく扱えない少年のまっすぐな感情です。勝利は、かれんの明るさだけでなく、ふと見せる影や、誰にも言えない事情に触れていきます。守りたいという思いは、優しさであると同時に、若さゆえの独りよがりにもなりかねません。その危うさを含めて、初めて誰かを本気で好きになる時期の熱が、読みやすい文体で描かれています。
シリーズの入口として、人物関係はシンプルで入りやすく、日常の場面にも温度があります。食卓、学校、家の中で交わされる何気ない会話が、ふたりの距離を少しずつ変えていきます。大事件よりも、近くにいるのに触れられないもどかしさや、好きな人の悲しみに気づいてしまう瞬間が印象に残ります。
青春恋愛小説、年上の人への憧れ、家族のようで家族ではない関係の揺らぎを読みたい方に向いています。甘さだけではなく、未熟さや切なさも含めて、シリーズ全体へ続く余韻を残す一冊です。
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