店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 館シリーズの直球本格に戻り、仮面と孤立の謎をじっくり追いたい時
- 刺さるポイント
- 吹雪に閉ざされた奇面館で、仮面を着けた招待客たちが異様な事件へ巻き込まれる
- 向いている人
- 館の構造、人物の同一性、名探偵の推理を腰を据えて楽しみたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、綾辻行人さんの『奇面館の殺人(上)』をご紹介します。
本作は、「館」シリーズ第九作にあたる長編本格ミステリーの上巻です。舞台は、季節外れの吹雪によって外界から切り離された奇面館。館の主に招かれた六人の客は、それぞれ鍵のかかった仮面を身につけることになり、ただでさえ不穏な館の空気は、さらに異様なものへ変わっていきます。
物語は、推理作家であり名探偵でもある鹿谷門実が、ある人物との出会いをきっかけに奇面館へ向かうところから動き出します。館には、壁一面を覆う仮面、招待客たちの奇妙な共通点、そして主人の思惑が見えない集いが用意されています。やがて「奇面の間」で発見される死体は、頭部と手の指を切り落とされており、誰が誰なのかという根本的な疑問まで事件に組み込まれていきます。
上巻の読みどころは、事件そのものが始まる前から、状況のすべてが謎として配置されているところです。なぜ仮面をつけなければならないのか。招待客はなぜ選ばれたのか。館の主は何を企んでいるのか。ひとつひとつの違和感が、後半へ向けて大きな推理の土台になっていきます。
「館」シリーズらしい閉鎖空間の緊張に、仮面という視覚的な仕掛けが加わることで、読者は人物の顔だけでなく、名前や立場までも疑いながら読み進めることになります。
『奇面館の殺人(上)』は、すぐに答えへ飛びつくよりも、奇妙な条件が整っていく過程を楽しみたい人に向いた一冊です。後半で本格的に動き出す推理のために、館の空気と謎の輪郭をじっくり味わう導入編です。
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