店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 仲間と目標へ向かう青春小説で、まっすぐ気持ちを熱くしたい時
- 刺さるポイント
- 寄せ集めの学生たちが、走ることを通して自分の弱さと向き合い、襷でつながっていく
- 向いている人
- スポーツもの、群像劇、成長物語が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、三浦しをんさんの『風が強く吹いている』をご紹介します。
物語は、箱根駅伝を夢見る大学生の清瀬灰二が、天才的な走りを見せる蔵原走と出会うところから大きく動き出します。灰二が暮らす古いアパートには、個性も生活態度もばらばらな学生たちが集まっています。彼らの多くは本格的な長距離走の経験がなく、箱根駅伝を目指すなど無謀に見える状況です。それでも灰二は、十人で襷をつなぐという目標を掲げ、仲間たちを走る世界へ巻き込んでいきます。
本作の読みどころは、スポーツの勝敗だけではありません。走ることを嫌がっていた者、過去の挫折を抱えている者、自分の居場所を見つけられずにいる者たちが、練習を重ねるなかで少しずつ変わっていきます。速さとは何か、強さとは何か。走るという単純な行為が、彼らにとっては自分自身の弱さや願いを見つめる時間になっていきます。
三浦しをんさんの人物描写は、十人それぞれにきちんと温度を与えています。誰か一人だけが英雄になるのではなく、長所も欠点も違う仲間たちが、互いの足りなさを補いながら前へ進みます。駅伝という競技の魅力である、個人の走りがチームの物語になる感覚が、読み進めるほど鮮やかに立ち上がってきます。
『風が強く吹いている』は、努力を単純に美化する作品ではありません。苦しさも、迷いも、情けなさも抱えたまま、それでも走ることを選ぶ若者たちの物語です。読み終えるころには、風の中を進む彼らの背中を、自然と応援していたことに気づくはずです。
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