店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 何かを最後までやりきる力を、まっすぐな青春小説から受け取りたい時
- 刺さるポイント
- 寄せ集めの中学生たちが、駅伝の襷をつなぎながら自分と仲間に向き合っていく
- 向いている人
- 部活、友情、成長のまぶしさを、熱すぎず誠実な温度で読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』をご紹介します。
舞台は中学校の陸上部です。頼りにしていた顧問が異動し、代わりにやってきたのは、陸上経験のない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に出るためにメンバーを集めます。けれど、集まったのは最初から強いチームではありません。過去に傷ついた生徒、周囲から誤解されがちな生徒、断ることが苦手な生徒、プライドの高い生徒、後輩として加わる生徒。それぞれが別の事情を抱えています。
この作品は、駅伝という競技のわかりやすい熱さを描きながら、勝利だけを目的にしないところが魅力です。走る速さよりも、なぜ走るのか、誰のために襷を渡すのかが大切にされます。練習の中でぶつかり合い、相手の弱さや強さを知り、自分が思っていた自分とは違う一面に気づいていく。その過程が丁寧に積み重ねられています。
読者の感想では、登場人物一人ひとりに視点が移る構成によって、寄せ集めだったメンバーが少しずつチームに見えてくるところに惹かれたという声が多くあります。誰か一人だけが主役なのではなく、全員の不器用さと懸命さが、最後の走りに意味を与えます。
瀬尾まいこさんらしいのは、青春をただきれいなものとして描かない点です。嫉妬もあります。意地もあります。逃げたい気持ちもあります。それでも、同じ目標に向かって体を動かす時間の中で、言葉だけでは届かなかったものが伝わっていきます。襷は、競技の道具であると同時に、互いを信じるための小さな証しになっています。
『あと少し、もう少し』は、読み終えたあとに自然と誰かを応援したくなる一冊です。大人になってから読むと、中学生たちの不完全さがなおさらまぶしく感じられます。何かに全力で向かうことの恥ずかしさと尊さを、まっすぐ思い出させてくれる青春小説です。
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