店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 人の心の奥に潜む恐怖を、じわじわ味わいたい時
- 刺さるポイント
- 他人の感情を読み取る女性と、多重人格の少女の出会いから異様な気配が立ち上がる
- 向いている人
- 心理ホラーとサスペンスの境目を緊張感たっぷりに読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、貴志祐介さんの『十三番目の人格 ISOLA』をご紹介します。
主人公の賀茂由香里は、他人の強い感情を読み取ることができる女性です。人の心に触れすぎてしまう力は、彼女にとって才能であると同時に、日常を消耗させる重荷でもあります。そんな由香里は、心に深い傷を抱えた少女と出会い、少女の内側にいくつもの人格が存在していることを知ります。最初は救いを求めるように見えたその世界に、やがて十三番目の人格、ISOLAの影が現れます。
本作の怖さは、目に見える怪物が突然襲ってくるような派手さではなく、人の意識の奥へ一歩ずつ踏み込んでいく不安にあります。相手を理解したいという善意、苦しんでいる誰かを助けたいという思いが、いつの間にか逃げ場のない恐怖と隣り合わせになる。由香里の力は事件を解き明かす手がかりであると同時に、知りたくなかった感情まで拾ってしまう危うさを持っています。
物語は、心理サスペンスとしての謎と、ホラーとしての不穏さを重ねながら進みます。少女の中で何が起きているのか。ISOLAとは何なのか。読者は由香里と同じように、同情と恐怖のあいだで揺れながら真相に近づいていきます。
『十三番目の人格 ISOLA』は、貴志祐介さんの初期作品であり、のちの作品にもつながる「理屈で説明できそうなのに、最後は人間そのものが怖い」という感触が強く出た一冊です。超常的な設定を使いながら、最後に残るのは心の傷、共感の限界、そして理解できない他者への恐れです。心理描写の濃いホラーを読みたい人に向いています。
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