店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 日常の中にある小さな違和感から、じわじわ怖くなる謎を読みたい時
- 刺さるポイント
- 九枚の絵に隠された不自然さが、別々の事件を一本の線へつないでいく
- 向いている人
- ホラーの空気とミステリーの推理を一緒に楽しみたい人に
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 雨穴さんの作品、 『変な絵』 についてお話しします。
この作品は、奇妙な絵を手がかりに、いくつもの出来事の裏側をたどっていくスケッチ・ミステリーです。物語に出てくる絵は、ぱっと見ただけではただ不気味なだけに見えるかもしれません。けれど、線の向き、塗りつぶされた場所、描かれていないものに目を向けると、そこには誰かが隠した記憶や、言葉にできなかった危険のサインが浮かび上がってきます。
本作の読みどころは、ホラーらしい気味の悪さと、論理で謎をほどく快感が同時に進んでいくところです。ブログの記事、子どもの描いた絵、山中で見つかった手がかりなど、別々に見える要素が少しずつつながり、読者は絵を見る目そのものを疑うことになります。怖さは派手な怪異ではなく、見落としていた違和感にあとから気づく瞬間にあります。
雨穴さんの作品らしく、文章は読みやすく、章ごとの引きも強いです。その一方で、謎の奥には家族や孤独、誰かを守ろうとする思いの歪みもあります。単に驚かせるための仕掛けではなく、人がなぜそんな形でしか助けを求められなかったのかを考えさせるところに余韻があります。
図版を見ながら読み進めるタイプの小説なので、読者も自然に探偵役になります。説明されたことを受け取るだけでなく、自分の目で見た違和感が次の章で意味を持ち始める。その参加感が、ページをめくる勢いにつながっています。怖さはありますが、血なまぐさい刺激だけではなく、構成のうまさで読ませる作品です。
『変な絵』は、怖い話が苦手な人にも比較的入りやすく、ミステリー好きにも手応えのある一冊です。何気ない絵が、読み終えた後にはまったく違って見えてきます。
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