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蒲生邸事件 表紙

蒲生邸事件

2026年5月27日 更新

今日は宮部みゆきさんの長編小説、『蒲生邸事件』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
歴史と時間旅行が絡む、読み応えのあるミステリーを楽しみたい時
刺さるポイント
昭和十一年へ飛ばされた青年が、過去を変えることと見届けることの重さに向き合う
向いている人
SF設定、歴史の空気、人間ドラマを一冊で味わいたい読者

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は宮部みゆきさんの長編小説、『蒲生邸事件』をご紹介します。

受験のために上京した青年、孝史は、宿泊先のホテルで火災に巻き込まれます。命の危機から彼を救ったのは、時間を移動する力を持つ謎の男でした。気がつくと、そこは昭和十一年。二・二六事件を目前にした東京です。現代から来た青年は、蒲生邸に身を寄せながら、自分が知識として知っていた歴史の中に、生身の人々が暮らしていることを思い知らされていきます。

この作品は、タイムトラベルを扱ったSFでありながら、歴史を便利な舞台装置として消費しません。過去に行けば何かを変えられるのか。変えられないとしたら、そこに立ち会う意味は何なのか。孝史は、これから起きる出来事を知っている立場に置かれますが、知っていることと、実際に人を救えることは別です。その隔たりが、物語に強い緊張感を与えています。

蒲生邸に集う人々も、それぞれの時代の中で悩み、選び、傷ついています。歴史上の大事件の影に隠れがちな、名もない人の生活や感情に光が当たることで、過去は教科書の一行ではなく、取り返しのつかない時間として立ち上がります。時間旅行者の視点と、昭和の空気を生きる人々の視点が重なるほど、読者もまた「歴史を知っている側」でいられなくなっていきます。

ミステリーの仕掛け、SFの設定、歴史小説の厚みを一度に味わいたい人に向いた一冊です。読み終えたあとには、過去を変えたいという願いと、変えられないものをどう受け止めるのかという問いが、深い余韻として残ります。

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