店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 才能と孤独、友情がぶつかる青春小説をまっすぐ味わいたい時
- 刺さるポイント
- 自分の力を信じ切る少年と、その球を受け止めようとする少年の関係が少しずつ形を変えていく
- 向いている人
- 野球小説、少年たちの成長物語、熱さだけでは終わらない青春ドラマが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、あさのあつこさんの『バッテリー』をご紹介します。
物語の主人公は、中学入学を目前にした原田巧です。岡山県境の町へ引っ越してきた巧は、ピッチャーとしての自分の才能を疑っていません。誰かに認められたいというより、自分の投げる球だけを信じている。そんな張りつめた少年の前に、同級生の永倉豪が現れます。豪は巧の球に強く惹かれ、自分こそがその球を受けたいと願います。
この作品の面白さは、野球の勝ち負けだけにありません。巧は圧倒的な才能を持つ一方で、周囲に合わせることが苦手です。自分に妥協しない姿勢はまぶしくもあり、同時に人を傷つける鋭さも持っています。豪はその鋭さに戸惑いながらも、巧の球を受け止めたいという思いを手放せません。二人の関係は、単純な友情でも、きれいなチームワークでもなく、憧れや反発、誇りが混ざり合った緊張感で進んでいきます。
周囲の大人や家族の視線も、物語に厚みを与えています。弟の青波、祖父の洋三、家族や学校の人々は、巧の才能だけでなく、その危うさも見ています。巧が自分の強さを貫こうとするほど、周囲との摩擦は大きくなり、読者は才能を持つことの孤独にも触れていきます。
『バッテリー』は、スポーツで一つになる爽快な物語というより、才能と自尊心を抱えた少年たちが、他者とどう向き合うのかを描いた青春小説です。まっすぐで、不器用で、時に痛い。だからこそ、巧と豪の間に生まれる一球の重さが強く残ります。熱い野球小説を読みたい人にも、少年たちの心の揺れをじっくり味わいたい人にもおすすめです。
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