店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 懐かしい歌と一緒に、少年時代の友情を思い出したい時
- 刺さるポイント
- 中学からの友人三人の成長を、時代を彩る音楽とともに描く青春小説
- 向いている人
- 友情、青春、昭和から平成へ続く懐かしい空気を味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの青春小説『あの歌がきこえる』をご紹介します。
この作品の中心にいるのは、シュウ、ヤスオ、コウジという三人の少年です。中学時代からの友人である彼らは、それぞれに不器用で、強がりで、優しさの出し方も上手ではありません。けれど、家の事情や恋の失敗、卒業の日の寂しさをくぐり抜けるたびに、三人の胸にはその時代の歌が流れています。
重松清さんは、青春をまぶしい思い出だけとして描きません。友だちだからこそ言えないことがあります。近くにいるのに、相手の痛みに気づけないこともあります。親の問題、進路への不安、誰にも見せたくない弱さが、少年たちの毎日に影を落とします。それでも、同じ歌を知っていること、同じ時間を過ごしたことが、彼らをゆるやかにつないでいきます。
作品の中で音楽は、単なる時代の飾りではありません。ある曲を聴くと、その時の匂いや風景まで一緒によみがえることがあります。もう戻れない時間なのに、歌だけは突然、過去の自分を連れてくる。この小説は、その感覚をとても自然に物語へ溶け込ませています。
『あの歌がきこえる』は、友人との距離が変わっていく寂しさと、それでも消えないつながりを描く一冊です。昔よく聴いた歌、もう会っていない友だち、言いそびれた言葉。そうしたものを静かに思い出させてくれる、ほろ苦くあたたかな青春小説です。
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