店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 喪失と救済、新興宗教の危うさを重ねた重いミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 妻子を失った男が、不思議な力を持つ少女との出会いをきっかけに心の空白を揺さぶられていく
- 向いている人
- 人間心理の暗部、信じることの危うさ、救いを求める物語に惹かれる人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、貫井徳郎さんの長編ミステリー『夜想』をご紹介します。
主人公の雪籐は、事故で妻と娘を失い、深い絶望の中で日々をやり過ごしています。仕事も生活も続いてはいるものの、心はどこにも向かっていません。そんな彼が出会うのが、天美遥という少女です。遥には、人の痛みを和らげるような不思議な力があり、その存在は雪籐だけでなく、傷ついた人々の心を強く引き寄せていきます。
物語は、個人の喪失から始まり、やがて人が救いを求める場所へ広がっていきます。大切な人を失った時、人は何を信じればいいのか。苦しみを取り除いてくれる存在が目の前に現れた時、それを疑うことはできるのか。新興宗教をめぐるテーマは、単に危険な集団を描くためではなく、救われたいと願う心そのものを見つめるために置かれています。
読みどころは、善意と依存の境界が少しずつ曖昧になっていく怖さです。遥の力は、誰かを救うように見えます。けれど救いを与える側、求める側、その周囲にいる人々の思いが重なるにつれて、物語は穏やかな方向には進みません。読者の反応でも、重さや長さを感じながらも、喪失から信仰へ向かう心理の描写に引き込まれるという声が多い作品です。
『夜想』は、明るい癒やしの物語ではありません。それでも、どうしようもない悲しみを抱えた人が、なぜ何かを信じずにはいられないのかを、深く考えさせてくれる一冊です。
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