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いたいのいたいの、とんでゆけ 表紙

いたいのいたいの、とんでゆけ

2026年5月27日 更新

今日は、 三秋縋さんの作品、 『いたいのいたいの、とんでゆけ』 についてお話しします。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
傷ついた人同士の出会いが、救いにも破滅にも見える物語を読みたい時
刺さるポイント
死を先送りにした少女との十日間が、復讐と恋と過去の真実を結びつけていく
向いている人
暗い恋愛小説、心理ドラマ、痛みの先にある再生の余韻を求める人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、 三秋縋さんの作品、 『いたいのいたいの、とんでゆけ』 についてお話しします。

この作品は、孤独の底にいる青年が、ある少女を死なせてしまったはずの瞬間から始まります。 何もかもに見放されたように感じていた二十二歳の秋、主人公は自分が殺人犯になったのだと思います。 ところが、死んだはずの少女は、死の瞬間を先送りすることで十日間の猶予を得ていました。 彼女はその時間を、自分の人生を壊した人々への復讐に使おうとします。 そして主人公は、その復讐に手を貸すことになります。

設定だけを見れば、暗く危うい物語です。 けれど本作の中心にあるのは、暴力や復讐の刺激そのものではありません。 傷つけられてきた少女と、自分の価値を見失った青年が、互いの痛みに触れてしまうこと。 その関係が、嫌悪や罪悪感だけでは説明できない感情へ変わっていくことです。 二人が過去に抱えてきたものが見えてくるにつれ、復讐の旅は、失われた記憶や届かなかった思いをたどる時間にもなっていきます。

読みどころは、救いが簡単な形で訪れないところにあります。 登場人物たちは、正しい選択だけをしてきたわけではありません。 むしろ間違い、傷つけ、逃げてきた人たちです。 それでも、誰かに自分の痛みを見つけてもらうことが、ほんの少しだけ生きる方向を変える。 その切実さが、この作品の強い余韻を作っています。

『いたいのいたいの、とんでゆけ』は、痛みの物語でありながら、最後には人を思う気持ちのかすかな温度が残る一冊です。 暗い恋愛小説が好きな人や、傷を抱えた人物の再生をじっくり読みたい人に向いています。

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