店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 故郷や家族の記憶を、時代の変化と一緒にじっくり味わいたい時
- 刺さるポイント
- 三世代の女性の目を通して、同じ土地への愛憎がまったく違う表情を見せる
- 向いている人
- ミステリー以外の辻堂作品や、重層的な家族小説を読みたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、辻堂ゆめさんの家族小説 『山ぎは少し明かりて』をご紹介します。
この作品は、瑞ノ瀬村という山あいの土地をめぐり、三世代の女性たちの人生を描く長編小説です。物語の中心にあるのは、ダム建設によって湖の底に沈んだ故郷です。村で生まれ育ち、その土地を深く愛した祖母。故郷を不便で窮屈な場所として見てきた娘。そして、そもそも故郷という感覚をうまくつかめない孫。時代も立場も異なる三人の視点から、同じ場所がまったく違う意味を持って浮かび上がります。
本作の魅力は、故郷を美しい思い出だけで語らないところです。自然に囲まれた暮らしには豊かさがありますが、閉ざされた土地ならではの息苦しさもあります。村を守ろうとする思いは尊く見える一方で、家族の選択や人生を縛る力にもなります。物語は、誰か一人の正しさに寄せるのではなく、時代の流れの中で変わっていく価値観を丁寧に重ねていきます。
ミステリーの印象が強い辻堂ゆめさんの作品の中では、より大きな時間の流れと人間ドラマに軸を置いた一冊です。昭和から令和へ、土地と暮らしが変わっていく中で、人は何を失い、何を受け継ぐのか。登場人物たちの選択は、家族の問題であると同時に、現代の私たち自身にも返ってくる問いになっています。
土地の記憶、親子三代の関係、失われた故郷をめぐる物語を読みたい人におすすめです。静かな語り口の中に、長い時間を生き抜いてきた人たちの強さと痛みが残ります。
Nearby Shelves
近くの棚を見る
近くの棚: 似た読み味の本
Discover More
この本から広げて探す
もっと本を探す
近いジャンルや著者から、今の気分に合う本を続けて探せます。