店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 創作への憧れと執着が、ひとつの関係を変えていく物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 救われた相手を救い返したい気持ちが、献身と依存の境目を揺らす
- 向いている人
- 作家小説や、痛みを含んだ共犯関係の物語に惹かれる人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、斜線堂有紀さんの作品、 『私が大好きな小説家を殺すまで』 についてお話しします。
この作品が描くのは、憧れと救済が少しずつ形を変えていく、痛みの強い物語です。
物語の中心にいるのは、人気小説家の遥川悠真と、彼の作品を心の支えにしてきた少女、幕居梓です。
梓は、苦しい家庭環境の中で、遥川の小説に出会います。本の中の言葉は、彼女にとってただの娯楽ではありませんでした。自分がまだここにいていいのだと思わせてくれる、命綱のような存在だったのです。
やがて梓は遥川本人と出会い、二人の関係は奇妙な共同生活へと進んでいきます。けれど、天才として輝いていたはずの遥川は、小説を書けなくなっていきます。梓は、自分を救ってくれた人を今度は自分が救いたいと願い、彼のためにある決断をします。
この作品で印象的なのは、誰かを大切に思う気持ちが、必ずしも健やかな形で表れるわけではないことです。
憧れは、時に相手を神様のように見せます。 恩は、時に自分を犠牲にする理由になります。 救いたいという願いは、時に相手を追い詰める力にもなります。
梓と遥川の関係は、恋愛とも家族とも師弟とも言い切れません。だからこそ、読んでいる間ずっと、これは救いなのか、依存なのか、共犯なのかと考えさせられます。
創作をめぐる物語としても読み応えがあります。小説を書くこと、読まれること、誰かの人生を変えてしまうこと。その重さが、登場人物たちの選択に深く関わっています。
好きという感情の奥にある、まぶしさと残酷さを見つめたい人に向いた一冊です。
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