店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 家族だからこそ言いにくい悩みを、少しやわらかく受け止めたい時
- 刺さるポイント
- ささやかな家庭の困りごとが、笑いと共感を含んだ人間ドラマに変わる
- 向いている人
- 夫婦や親子の距離感を描く、温かい短編小説が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
今日は、 奥田英朗さんの短編集、 『我が家の問題』 についてお話しします。
この本に登場するのは、 どこにでもありそうな家庭の、 けれど本人たちにとっては切実な問題です。 夫が仕事でうまくいっていないらしいと気づく妻。 新婚なのに、 家に帰ることが少し重くなってしまう夫。 実家や近所づきあい、 親子の距離、 夫婦の役割をめぐる小さな戸惑い。 大げさに騒ぐほどではないけれど、 放っておくと心に引っかかり続ける悩みが、 一話ごとに描かれていきます。
この作品のおもしろさは、 問題の解決よりも、 問題に気づいた人の揺れ方にあります。 相手を責めたい気持ちがある。 でも、 自分にも弱さや思い込みがある。 家族だから遠慮なく言えることもあれば、 家族だからこそ言えないこともある。 その矛盾が、 奥田英朗さんらしい軽やかなユーモアでほどかれていきます。
登場人物たちは、 立派な答えを見つけるわけではありません。 むしろ、 自分の想像と現実のずれに戸惑い、 ときには空回りしながら、 相手の事情に少しだけ近づいていきます。 その少しだけ、という距離感がとても自然です。 家族の関係は劇的に変わらなくても、 相手を見る目がほんの少し変われば、 暮らしの手触りも変わっていくのだと感じます。
この本は、 家族を理想化しすぎません。 面倒で、 気まずくて、 思い通りにならない。 それでも、 一緒にいるからこそ生まれるおかしみや温かさがあります。 くすっと笑ったあとに、 少し胸がゆるむような読後感が残ります。
『我が家の問題』は、 家庭の中の小さな悩みに疲れた時、 自分だけではないと思わせてくれる一冊です。 誰かと暮らすことの厄介さと、 それでも続いていく関係のやさしさを描いた物語です。
Nearby Shelves
近くの棚を見る
近くの棚: 似た読み味の本
Discover More