店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 夫婦や家族のこれからを、食卓の温度と一緒に考えたい時
- 刺さるポイント
- 妻の離婚届を見つけた中学教師を中心に、料理好きの中年男性三人の人生が揺れ始める
- 向いている人
- 家族小説、夫婦の物語、食べることを通して人生を描く作品が好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、重松清さんの長編小説『ファミレス 上』をご紹介します。
主人公の宮本陽平は、中学校教師として働き、子どもたちが家を離れたあと、妻との二人暮らしに向き合い始めた男性です。ところがある日、妻の署名が入った離婚届を見つけてしまいます。問いただす勇気もないまま動揺する陽平を、料理を通じてつながる友人の一博と康文が気にかけますが、彼らの家庭にもそれぞれの事情があります。
上巻では、五十歳前後の男性たちが、仕事や家庭で少しずつ見ないふりをしてきた問題に押し戻されていきます。夫婦は長く一緒にいればわかり合える、家族は自然に続いていく。そう思っていたはずの関係が、ふとした出来事で揺らぎ始める。その不安が、食事の場面や台所の匂いとともに描かれます。
重松清さんは、料理を特別な趣味としてだけ扱いません。買い物をすること、包丁を握ること、誰かのために皿を並べること。そうした日常の動作の中に、言葉ではうまく言えない思いや、家族の歴史がにじみます。だからこそ、登場人物たちの戸惑いは身近で、どこか情けなく、同時に愛おしく感じられます。
『ファミレス 上』は、人生の後半に入りかけた人たちが、もう一度家族や友人との関係を見つめ直す物語です。大きな事件よりも、食卓に残る沈黙や、湯気の向こうにある気まずさが胸に残ります。下巻へ向けて、彼らが何を作り、誰と食べるのかが気になる一冊です。
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