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ヴァン・ショーをあなたに 表紙

ヴァン・ショーをあなたに

2026年5月27日 更新

今日は、近藤史恵さんの『ヴァン・ショーをあなたに』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
ビストロ・パ・マルの空気をもう少し長く味わいたい時
刺さるポイント
店で起きる謎に加えて、三舟シェフのフランス修業時代まで物語が広がる
向いている人
料理をめぐる連作ミステリーや、余韻のやさしい短編集が好きな人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、近藤史恵さんの『ヴァン・ショーをあなたに』をご紹介します。

この作品は、ビストロ・パ・マルシリーズの第二作です。下町のフレンチレストランを舞台に、シェフ三舟と店のスタッフ、そして客たちが持ち込む小さな謎が描かれます。前作と同じく、事件は日常のすぐそばにあります。錆びてしまう調理道具、妙に気になる客の言動、料理の思い出に結びついた秘密。大げさではないけれど、誰かの心には深く残っている出来事が、店のテーブルにそっと置かれていきます。

三舟シェフの魅力は、謎を解くことそのものより、相手がなぜそう振る舞ったのかを見抜くところにあります。料理人としての経験、素材への感覚、そして人を急かさずに見る姿勢が、ばらばらに見える事情をつなげていきます。答えがわかったあとも、勝ち負けのような後味にならず、少し寂しく、少し温かい余韻が残ります。

本作では、店での出来事だけでなく、三舟がフランスで修業していた時代のエピソードも語られます。タイトルにもなっているヴァン・ショーは、寒い季節に体を温める飲み物であると同時に、記憶や親切が受け継がれていく象徴のようにも感じられます。シェフがなぜ今のような料理人になったのか、その一端が見えることで、シリーズの世界が一段深くなります。

『ヴァン・ショーをあなたに』は、おいしい料理と小さな謎の組み合わせを楽しみながら、人の不器用さややさしさに触れられる短編集です。前作を読んだ人にはもちろん、静かなミステリーで心を休めたい人にも向いています。

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