店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 小さな嘘が事件を深くしていく、心理寄りの短編ミステリーを読みたい時
- 刺さるポイント
- 加賀恭一郎が、派手なトリックよりも人が嘘をつく理由に踏み込んでいく
- 向いている人
- 短い話の中で、事件の苦味と人間ドラマの余韻を味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 東野圭吾さんの作品、 『嘘をもうひとつだけ』 についてお話しします。
『嘘をもうひとつだけ』は、加賀恭一郎が登場する短編連作です。表題作では、バレエ団の事務員がマンションから転落死し、事件は自殺として扱われそうになります。しかし、同じ建物に住む元プリマ・バレリーナのもとを加賀が訪ねてきたことで、静かに疑念が広がっていきます。
収録作に共通しているのは、事件そのものよりも、その周囲で人がついてしまう嘘です。悪意からの嘘もあれば、誰かを守るための嘘、自分の弱さを隠すための嘘もあります。最初はささやかなごまかしに見えても、ひとつの嘘を守るためにもうひとつの嘘が必要になり、やがて本人を縛っていきます。
加賀の捜査は派手ではありません。強引に追い詰めるのではなく、相手の言葉の選び方や沈黙、説明しすぎる部分に目を向けます。その静かな観察によって、事件の形だけでなく、嘘をつかざるを得なかった人間の悲しさまで見えてきます。
短編集なので読みやすく、ひとつひとつの話はコンパクトです。それでも読後には、真相を知った爽快感だけでなく、後味の苦さが残ります。加賀シリーズを初めて読む人にも入りやすく、ミステリーの論理と人間心理の切なさを短い時間で味わえる一冊です。
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