店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 大人の苦みがあるハードボイルドなミステリーに浸りたい時
- 刺さるポイント
- 新宿の爆破事件をきっかけに、封じてきた過去と現在の事件が一本につながる
- 向いている人
- 社会派ミステリー、逃亡者の物語、渋い人物造形を味わいたい人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』をご紹介します。
物語の主人公は、新宿でバーを営む島村です。酒に溺れ、過去を語らず、世間から少し外れた場所で静かに生きている男。ところがある日、新宿中央公園で爆破事件が起こり、彼の前に、昔の恋人の娘やヤクザ、警察の影が次々と現れます。島村は事件の渦中に押し出され、二十年以上前に置き去りにした記憶と向き合うことになります。
本作は、爆弾テロの犯人を追うサスペンスでありながら、中心にあるのは一人の男の人生の傷です。島村は強くも正しくも見えますが、実際には逃げてきたものを抱えたまま生きています。その弱さや諦めが、物語に乾いた哀しみを与えています。派手な事件の裏に、学生運動の時代、友情、裏切り、恋の記憶が重なり、現在の謎が過去の清算へと変わっていきます。
読み味はハードボイルドですが、単に格好いい男の物語ではありません。人はどこまで自分の過去から逃げられるのか。大切な人を守れなかった記憶を抱えたまま、もう一度誰かのために動けるのか。そうした問いが、抑えた文章の中からじわりと立ち上がります。
『テロリストのパラソル』は、事件の展開を追う面白さと、大人の苦みを味わう読書が両立した一冊です。スピード感のあるミステリーを読みたい人にも、人生の陰影を感じる人物小説を読みたい人にも向いています。読み終えるころには、傘の下に隠されていたものの重さが、静かな余韻として残ります。
Nearby Shelves
近くの棚を見る
近くの棚: 似た読み味の本
Discover More
この本から広げて探す
もっと本を探す
近いジャンルや著者から、今の気分に合う本を続けて探せます。