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ファイア・ドーム(下) 表紙

ファイア・ドーム(下)

2026年5月27日 更新

今日は、辻村深月さんの長編ミステリー、 『ファイア・ドーム(下)』についてお話しします。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
長い事件の火種が、現在の失踪と過去の真相へつながる緊張を味わいたい時
刺さるポイント
忘れられたはずの事件が、少年の行方不明をきっかけにもう一度町を焼き始める
向いている人
上下巻の重厚な社会派ミステリーで、人の記憶と忘却を見届けたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、辻村深月さんの長編ミステリー、 『ファイア・ドーム(下)』についてお話しします。

下巻では、二十五年前の百貨店受付嬢誘拐殺人事件が残した火種が、現在の失踪事件と結びつきながら大きく燃え上がっていきます。 町には、もう終わったことにしたい人がいます。 それでも忘れられない人がいます。 そして、真実を知りたいという気持ちの中にも、誰かの不幸を物語として消費してしまう危うさが潜んでいます。 夏の日に姿を消した少年の行方を追う現在の緊張と、過去に隠されたままの事実が、少しずつ同じ場所へ近づいていきます。

この物語が重いのは、悪意が一人の犯人だけに集約されないからです。 噂を信じること、沈黙すること、忘れたふりをすること、正義の顔で誰かを断罪すること。 そうした小さな行為が積み重なり、町全体を覆う火のようになります。 辻村深月さんは、事件の真相を追う面白さと同時に、そこに巻き込まれた人たちがどれだけ長く傷を抱えるのかを見つめます。

下巻は、上巻で張られた不穏な空気を受け止め、過去と現在の輪郭を結んでいく完結編です。 読み終えたあとに残るのは、真相への驚きだけではありません。 人は何を覚え、何を都合よく忘れ、どんな言葉で他人を燃やしてしまうのか。 その問いが、現代を生きる読者の足元にも届いてくる一冊です。

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