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天上の葦 上 表紙

天上の葦 上

2026年5月27日 更新

今日は、太田愛さんの『天上の葦 上』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
不可解な死と失踪から始まる大きな陰謀を追いたい時
刺さるポイント
渋谷の一瞬と公安警察官の失踪が、報道と権力の問題へ広がる
向いている人
骨太な社会派サスペンスの導入をじっくり味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、太田愛さんの『天上の葦 上』をご紹介します。

物語は、渋谷のスクランブル交差点で起こる不可解な死から始まります。九十六歳の老人が、何もない空を指さして息絶える。その最期の動作に何の意味があったのかを突き止めれば報酬を支払うという奇妙な依頼が、興信所を営む鑓水と修司のもとへ舞い込みます。一方で、同じ日に公安警察官が忽然と姿を消し、停職中の刑事、相馬もまた別の筋から事件へ引き寄せられていきます。

上巻の魅力は、ふたつの出来事が離れているようでいて、少しずつ同じ暗がりを照らし始めるところです。老人は何を見ていたのか。公安警察官はなぜ消えたのか。廃屋に残された血痕、テレビ局幹部の名刺、過去から届いた葉書。断片はどれも不穏で、しかし全体像はなかなか見えません。その見えなさが、読者を鑓水たちと同じ場所に立たせます。

本作では、事件の背後にある権力と報道の関係が大きなテーマになっていきます。真実を伝えるはずの場が、誰かの都合で沈黙させられるとしたら、社会は何を失うのか。上巻ではその問いが、謎解きの緊張とともにゆっくり迫ってきます。太田愛さんの作品らしく、エンターテインメントとして読ませながら、現実の社会にも通じる息苦しさを感じさせます。

『天上の葦 上』は、大きな物語の入口にあたる一冊です。不可解な事件の謎を追いながら、個人では太刀打ちできない仕組みにどう向き合うのかを考えさせる、重厚な社会派サスペンスです。

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