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たゆたえども沈まず 表紙

たゆたえども沈まず

2026年5月27日 更新

今日は、原田マハさんの『たゆたえども沈まず』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
ゴッホの絵と、海を越えて響き合う創作の物語に浸りたい時
刺さるポイント
パリに渡った日本人画商とゴッホ兄弟の人生が、浮世絵を通して交差していく
向いている人
アート小説、歴史小説、芸術家の情熱を描く物語が好きな人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、原田マハさんの『たゆたえども沈まず』をご紹介します。

舞台は、十九世紀末のパリです。日本から渡った画商の林忠正は、浮世絵を携えてヨーロッパの美術界に入り込みます。彼のそばで働く重吉は、言葉も習慣も違う街で戸惑いながら、芸術をめぐる熱気を肌で感じていきます。一方、売れない画家フィンセント・ファン・ゴッホは、弟テオに支えられながら、自分だけの色と線を求めて苦闘していました。遠い国から来た絵と、孤独な画家のまなざしが交わる時、物語は静かに大きく動き出します。

本作の魅力は、史実を土台にしながら、名画が生まれる瞬間を人間の息づかいとして描いているところです。ゴッホは天才としてではなく、認められたいと願い、傷つき、なお描くことをやめられない一人の人間として現れます。テオの献身、林忠正の先見性、重吉の戸惑いと成長が重なることで、芸術は特別な人だけのものではなく、誰かが信じ、支え、受け取ることで後世へ残っていくものなのだと感じられます。

浮世絵が西洋美術に与えた衝撃も、物語の大きな読みどころです。異なる文化が出会う時、そこには理解のずれや商売の思惑もあります。それでも、絵に向き合う人々の真剣さが、時代や国境を越えて新しい美を生み出していきます。芸術の歴史を知る楽しさと、人生を賭けて何かを残そうとする人間ドラマが、厚みのある読後感につながっています。

『たゆたえども沈まず』は、絵画に詳しくなくても、創作に取りつかれた人々の熱をまっすぐ味わえる一冊です。ゴッホの絵の前に立った時、その向こうにある孤独や友情、そして支え合いの物語まで思い出したくなります。

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