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壬生義士伝 上 表紙

壬生義士伝 上

2026年5月27日 更新

今日は、 浅田次郎さんの作品、 『壬生義士伝 上』についてお話しします。

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気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
幕末の激動を、名もなき一人の男の家族愛から見つめたい時
刺さるポイント
新選組隊士として恐れられながら、故郷と家族を思い続ける矛盾が胸を打つ
向いている人
歴史小説の骨太さと、人間ドラマの切なさを同時に味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、 浅田次郎さんの作品、 『壬生義士伝 上』についてお話しします。

この物語は、新選組の隊士、吉村貫一郎の生涯を描く歴史小説です。幕末という大きな時代のうねりを背景にしながら、中心にあるのは、武士としての誇りと、家族を食べさせたいという切実な願いです。

吉村貫一郎は、南部藩を離れ、壬生浪士組に身を投じます。剣の腕は立ち、人斬りとして恐れられる一方で、金に細かく、故郷の妻子へ仕送りを続ける男でもあります。その姿は、周囲から卑しいと見られることもあります。しかし物語が進むにつれて、その振る舞いの奥にある貧しさへの怒り、家族への責任、そして人としての情の深さが見えてきます。

上巻では、吉村という人物の輪郭が、さまざまな証言や回想を通して少しずつ立ち上がっていきます。新選組の物語でありながら、華やかな剣戟だけではありません。時代の正義にのみ込まれた人々が、何を信じ、何を守ろうとしたのかを丁寧に追っていきます。

読者の印象に残るのは、吉村が強いだけの人物ではないことです。泥くさく、時にみっともなく、それでも大切なもののために生きる。その不器用な姿が、幕末の英雄譚とは違う手触りで胸に迫ります。

『壬生義士伝 上』は、歴史小説をあまり読まない人にも入りやすい作品です。時代の知識よりも、一人の人間の生き方に心を寄せて読む物語だからです。家族のために、故郷のために、そして自分の義のために生きた男の姿が、重く、熱い余韻を残します。

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