店頭POP
今の気分に合う一冊かも
気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。
- こんな時に
- 大人になってから、学生時代の痛みをもう一度見つめる物語を読みたい時
- 刺さるポイント
- 同窓会をきっかけに、かつての教室で生まれた悪意と劣等感が現在に影を落とす
- 向いている人
- 青春のきらめきよりも、その裏側の残酷さを描く心理サスペンスが好きな人
Reading Notes
読みどころメモ
音声レビューの要点
今日は、 辻村深月さんの長編小説、 『太陽の坐る場所』についてお話しします。
この作品は、高校卒業から十年後の同窓会をきっかけに、かつての教室で起きた感情の傷がよみがえる心理サスペンスです。物語の中心にいるのは、今では人気女優となった同級生、キョウコを同窓会に呼ぼうとする男女たちです。大人になった彼らは、それぞれの生活を送っているように見えますが、心の奥には高校時代の記憶がまだ残っています。
同窓会という場は、懐かしさだけでできているわけではありません。当時の立ち位置、誰かへの嫉妬、見下された痛み、何気ない一言で決まってしまった関係。キョウコに近づこうとするほど、彼らは過去に置いてきたはずの感情に引き戻されていきます。
この小説が鋭いのは、青春を美しい思い出としてだけ描かないところです。教室には、まぶしさと同じくらい残酷さがあります。人気者、目立たない人、選ばれる人、選ばれない人。その差が小さな悪意や劣等感となり、大人になっても消えずに残っていることを、複数の視点から浮かび上がらせます。
派手な事件よりも、人の心の奥で長く熟成された痛みが怖い作品です。過去は終わったように見えて、形を変えて現在に座り続けている。そんな読後感が残る、辻村深月さんらしい青春の裏側を描いた一冊です。
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