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2026年5月27日 更新

今日は、綿矢りささんのデビュー作『インストール』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
十代の息苦しさと、少し危うい解放感を味わいたい時
刺さるポイント
学校から降りた女子高生と小学生が、押し入れのパソコンから大人の世界をのぞいていく
向いている人
青春小説の明るさだけでなく、退屈や反抗心のざらつきも読みたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、綿矢りささんのデビュー作『インストール』をご紹介します。

主人公の朝子は、高校生活にも受験勉強にも、うまく意味を見つけられなくなっている少女です。ある日、部屋のものを投げ出すように処分した彼女は、近所の小学生かずよしと出会います。二人は捨てられたパソコンを拾い、押し入れの中に小さな作業場を作ります。そこから始まるのは、子どもの遊びとも言い切れず、大人の世界への侵入とも言い切れない、奇妙で危うい共同作業です。

この作品には、十代特有の退屈と苛立ちが濃く描かれています。朝子は大きな不幸を背負っているわけではありません。けれど、学校に行き、勉強し、将来のために努力するという当たり前の流れに、自分の体がついていかない。その空白に、かずよしの大胆さとパソコンの画面越しの世界が入り込んできます。

読みどころは、若さの無敵感と不安定さが同時にあるところです。朝子とかずよしは、世の中の仕組みを理解しているようで、実は何もわかっていません。それでも、自分たちなりに状況を動かそうとする姿には、危なっかしさと同時に生き生きとした勢いがあります。大人から見れば間違いだらけでも、本人たちにとっては、息苦しい日常から抜け出すための切実な試みなのです。

『インストール』は、青春をきれいな成長物語としてまとめません。退屈、反抗、好奇心、未熟さが混ざり合う短い季節を、軽やかな文体で切り取った一冊です。若い頃の自分の危うさを思い出したい人にも、今まさに居場所のなさを感じている人にも、強い印象を残す作品です。

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