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ステノグラフィカ 表紙

ステノグラフィカ

2026年5月27日 更新

今日は、一穂ミチさんの『ステノグラフィカ』をご紹介します。

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店頭POP

今の気分に合う一冊かも

気分、読みどころ、向いている読者を店頭POPのようにまとめました。

こんな時に
言葉にならない思いを、仕事と日常の細部から読み取りたい時
刺さるポイント
国会速記者と政治部記者という、言葉を扱う二人の距離が少しずつ変わっていく
向いている人
年の差の恋、お仕事小説の空気、静かに積もる片思いを味わいたい人

Reading Notes

読みどころメモ

音声レビューの要点

今日は、一穂ミチさんの『ステノグラフィカ』をご紹介します。

この作品は、国会で速記者として働く名波碧と、政治部記者の西口諫生を中心にした恋愛小説です。碧の仕事は、飛び交う言葉を正確に受け止め、記録へ変えていくことです。表に立つ仕事ではありませんが、誰かの発した言葉を逃さずすくい取る姿勢は、彼自身の静かで誠実な生き方にも重なっています。

西口は、碧とは対照的に、がさつで忙しなく、現場の熱をまとったような記者です。年齢も立場も違う二人は、最初からきれいに噛み合うわけではありません。けれど、仕事の場で言葉を交わし、互いの生活の断片に触れるうちに、碧は西口の粗さの奥にある弱さや優しさを知っていきます。西口もまた、碧の控えめな強さに少しずつ引き寄せられていきます。

本作の面白さは、恋愛の進展を大きな事件だけで動かさないところです。会話の間、仕事終わりの疲れ、料理や部屋の気配、何気ない反応の中に、相手への関心がにじみます。速記という題材も印象的です。人は本当に大事なことほど、はっきり口にできないことがあります。その言えなさをどう読み取り、どう受け止めるのかが、物語全体の軸になっています。

『ステノグラフィカ』は、言葉を扱う人たちの物語でありながら、言葉にならない感情を丁寧に描いた一冊です。年の差や職場の距離感にある緊張、片思いの痛み、相手を知ることで自分の世界が広がっていく感覚が残ります。静かな余韻のあるお仕事恋愛小説を読みたい人に向いています。

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